退職前に確認しておきたい社会保険・年金・お金のこと〜不安を小さくするための整理ポイント〜

〜不安を小さくするための整理ポイント〜

会社を辞める前後は、気持ちが大きく揺れやすい時期です。

「この先の収入は大丈夫かな」
「健康保険はどうなるんだろう」
「年金は減ってしまうのかな」
「雇用保険は受けられるのかな」
「次の働き方を、どう考えればいいんだろう」

このような不安は、決して珍しいものではありません。

私自身も、長く会社員として働いたあと、社会保険労務士として独立しました。
会社員のときは、社会保険や税金、給与からの控除などは、会社が多くの手続きをしてくれていました。

でも、会社を離れると、健康保険、年金、雇用保険、家計、今後の働き方を、自分で確認していく必要があります。

不安になるのは、弱いからではありません。
見えないものが多いから、不安になるのだと思います。

退職前後のお金や制度は、ひとつずつ確認すれば整理できます。
この記事では、退職前に確認しておきたい基本的なポイントをまとめます。


1. まず確認したいのは健康保険

退職後の健康保険は、多くの場合、いくつかの選択肢があります。

代表的には、

  • 退職前の健康保険を任意継続する
  • 国民健康保険に加入する
  • 家族の健康保険の扶養に入る

といった選択肢です。

任意継続は、退職後も一定の条件のもとで、退職前に加入していた健康保険に引き続き加入できる制度です。厚生労働省の資料でも、任意継続は退職後に最大2年間、退職前の健康保険の被保険者になれる制度とされています。

ただし、退職後は会社負担分がなくなるため、保険料の負担感が変わることがあります。協会けんぽでは、退職後は事業主負担分も本人が負担するため、原則として退職時の健康保険料の2倍になると説明されています。ただし、上限や保険料率の違いがあります。

国民健康保険は、市区町村で保険料を確認する必要があります。
家族の扶養に入る場合は、家族の勤務先を通じて確認することになります。

ここで大切なのは、
「どれが一番得か」だけで決めないことです。

保険料、扶養に入れる条件、今後の働き方、収入見込み、手続きのタイミングを合わせて確認することが大切です。


2. 年金の手続きも忘れずに確認する

会社員として厚生年金に加入していた方が退職すると、年齢や働き方によって、国民年金の手続きが必要になる場合があります。

日本年金機構は、会社を退職したときには国民年金第1号被保険者への手続きが必要になる場合があること、また、扶養されていた配偶者も第3号被保険者の資格を喪失する場合があることを案内しています。

たとえば、退職後すぐに別の会社へ就職して厚生年金に加入する場合と、しばらく無職になる場合、独立する場合では、必要な手続きが変わることがあります。

また、配偶者がいる場合は、自分だけでなく配偶者の年金区分も確認が必要です。

退職前後は、つい健康保険や雇用保険に目が向きがちですが、年金の手続きも忘れずに確認しておきたいところです。


3. 雇用保険は「もらえるか」だけでなく、今後の働き方と一緒に考える

退職後に雇用保険の基本手当を受けられるかどうかも、多くの方が気になる点です。

厚生労働省は、雇用保険の基本手当について、失業された方が安定した生活を送りながら、早く再就職できるようにするための給付と説明しています。受給資格は原則として、離職前2年間に被保険者期間が12か月以上必要とされています。倒産・解雇などの場合には、別の要件が設けられています。

ここで気をつけたいのは、雇用保険は単に「退職したら自動的にもらえるもの」ではないという点です。

働く意思と能力があること、求職活動を行うこと、離職理由や加入期間など、さまざまな条件があります。

また、独立や副業を考えている方は、雇用保険の受給との関係を事前に確認しておいた方が安心です。

「再就職するのか」
「独立するのか」
「しばらく休むのか」
「短時間で働くのか」

今後の働き方によって、確認すべきポイントが変わってきます。


4. 家計は「いくら足りないか」ではなく「何か月安心できるか」で見る

退職前後のお金の不安は、収入が一時的に下がることから生まれやすいです。

このとき、最初に確認したいのは、細かい節約術ではありません。

まずは、

  • 毎月の生活費はいくらか
  • 住宅ローンや家賃などの固定費はいくらか
  • しばらく収入が少なくても何か月暮らせるか
  • 退職金や貯蓄をどのくらい使えるか
  • 次の収入がいつ頃から見込めるか

を確認することです。

不安が強いときは、「足りなかったらどうしよう」と考えがちです。

でも、数字にしてみると、
「半年は大丈夫そう」
「1年はかなり慎重に見れば何とかなる」
「この固定費を見直せば少し安心できる」
というように、見え方が変わることがあります。

お金の不安は、金額そのものだけでなく、
見通しがないことから大きくなることがあります。


5. 働き方とお金は、分けずに考える

退職、転職、再雇用、独立、副業。
どの選択にも、お金と制度が関係します。

たとえば、収入だけを見れば高い仕事でも、心身に負担が大きければ長く続けるのが難しいかもしれません。

一方で、少し収入が下がっても、生活費や社会保険、年金の見通しが立っていれば、自分に合った働き方を選びやすくなることもあります。

大切なのは、
「損か得か」だけでなく、「納得できるか」
という視点です。

私は、働き方やお金の相談では、制度の確認だけでなく、その人がどんな暮らしを大切にしたいのかも大事にしたいと考えています。

無理をして働き続けることだけが正解ではありません。
一方で、勢いだけで退職や独立を決めるのも不安が残ります。

制度、お金、キャリア、暮らし方。
この4つを一緒に見ることで、選択肢は少し見えやすくなります。


6. 退職前に確認しておきたいチェックリスト

退職を考え始めたら、まずは次のようなことを整理してみてください。

  • 退職予定日はいつか
  • 退職後の健康保険はどうするか
  • 国民年金の手続きが必要か
  • 配偶者の扶養や年金区分に影響があるか
  • 雇用保険の受給資格や離職理由はどうなるか
  • 毎月の生活費はいくらか
  • 収入が少ない期間を何か月見込むか
  • 再就職、再雇用、独立、副業のどれを考えているか
  • 何を大切にして次の働き方を選びたいか

全部を一度に完璧に整理する必要はありません。

まずは、わかっていることと、まだわからないことを分けるだけでも十分です。


7. ひとりで抱え込まず、現在地を整理する

退職前後の不安は、いくつものテーマが重なります。

健康保険。
年金。
雇用保険。
家計。
次の働き方。
家族との暮らし。
自分の気持ち。

だからこそ、ひとりで考えていると、どこから手をつければよいかわからなくなることがあります。

不安をなくすことは難しくても、
不安を整理することはできます。

まずは、今の状況を見える形にすること。
次に、確認すべき制度を整理すること。
そして、自分にとって納得できる働き方を考えること。

その順番で考えると、少し前に進みやすくなります。


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参考情報

退職前後の手続きは、加入している健康保険、年齢、家族構成、退職理由、今後の働き方によって異なります。実際の手続きは、勤務先、健康保険組合、市区町村、年金事務所、ハローワークなどで確認してください。

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