
親が高齢になってくると、少しずつ気になることが増えてきます。
体調のこと。
通院のこと。
食事のこと。
外出のこと。
家の片づけや書類のこと。
会話の様子や、予定の覚え方のこと。
最初は、はっきりと「介護が必要」と言えるほどではないかもしれません。
「少し前と違う気がする」
「なんとなく心配だけれど、何をすればよいかわからない」
「親のことをどこまで手伝えばよいのだろう」
「仕事をしながら、どこまで関われるのだろう」
そんなふうに、家族の中で小さな戸惑いが出てくることがあります。
親の老いは、ある日突然大きな問題として始まるとは限りません。
小さな変化や違和感から、少しずつ見えてくることもあります。
そして、親のことは、親だけの問題ではありません。
子ども世代の働き方、家計、時間の使い方、心身の余裕にも関わってきます。
だからこそ、親が高齢になってきたと感じたら、介護のことだけでなく、自分自身の働き方やお金、時間の使い方も少しずつ整理しておくことが大切です。
Contents
親の変化は「小さな違和感」から始まることがある
親の変化は、最初から大きな形で現れるとは限りません。
たとえば、次のようなことです。
- 曜日や予定があいまいになってきた
- 外出する機会が減ってきた
- 食事量が以前と変わってきた
- 通院や薬の管理が少し不安になってきた
- 会話が減ってきた
- 家の中の片づけが以前より難しそうに見える
- お金や書類の管理に不安を感じる
- 趣味や人付き合いが少なくなってきた
もちろん、こうした変化があるからといって、すぐに大きな問題だと決めつける必要はありません。
年齢を重ねれば、体力や生活リズムが変わることもあります。
一時的な体調不良や、気分の落ち込みが影響していることもあります。
大切なのは、不安を大きくしすぎることではなく、気になる変化に気づいたときに、家族だけで抱え込まないことです。
医療機関、地域包括支援センター、自治体の窓口など、相談できる場所はあります。
「介護と呼ぶほどではないから、相談してはいけない」ということはありません。
気になることを少し整理するだけでも、次に何を見ればよいかがわかりやすくなります。
「介護」という言葉の手前にある困りごと
親のことを考えるとき、いきなり「介護」という言葉を使うことに抵抗がある方も多いと思います。
まだ要介護というほどではない。
でも、なんとなく気になる。
少し手伝うことが増えてきた。
このままでよいのか、どこに相談すればよいのかわからない。
そういう段階は、とても多いのではないでしょうか。
たとえば、次のような困りごとです。
- 通院の付き添い
- 買い物の手伝い
- 電話や郵便物、書類の確認
- 家の片づけ
- お金の管理
- 外出機会の減少
- 認知機能への不安
- きょうだいや親族との役割分担
- 親本人が支援を受けたがらないことへの戸惑い
こうしたことは、ひとつひとつは小さく見えるかもしれません。
でも、仕事をしながら、家庭を持ちながら、自分自身の生活も守りながら対応していくとなると、少しずつ負担が大きくなることがあります。
だからこそ、「まだ介護ではない」と思う段階から、少しずつ情報を整理しておくことが大切です。
仕事と介護の両立は、見えにくい悩みになりやすい
私は企業の人事部門で働いていたとき、社員の方々の声に触れる機会がありました。
その中で、仕事と介護の両立には、かなり潜在的なニーズがあると感じていました。
一方で、介護の悩みは表に出にくいものでもあります。
「まだ介護と言ってよいのかわからない」
「会社に知られたくない」
「恥ずかしい」
「何を相談すればよいかわからない」
「制度が難しくて、調べる気力がわかない」
「親のことを職場に話すと、迷惑をかけるように思える」
そう感じる方も少なくありません。
仕事と介護の両立に関しては、介護休業、介護休暇、短時間勤務等の措置、在宅勤務や時差出勤など、会社の制度として用意されているものがあります。
ただ、制度名を聞いただけでは、自分が何を使えるのか、どのタイミングで相談すればよいのか、すぐにはわからないことも多いと思います。
また、制度は法律改正や会社ごとの規程によって内容が変わることがあります。
そのため、具体的な日数や要件は、最新情報や会社の就業規則、人事・総務窓口で確認することが大切です。
ただし、完璧に制度を理解してからでないと相談できない、というわけではありません。
まずは、自分の状況を整理すること。
親の状況、自分の働き方、関われる範囲、困っていることを見える化すること。
それだけでも、会社や専門機関に相談するときの第一歩になります。
親の介護を考えるときに見える化したい4つのこと
親のことを考えるとき、頭の中だけで整理しようとすると、どうしても不安が大きくなりやすいものです。
そこでおすすめしたいのが、次の4つに分けて見える化することです。

1. 親の状況
まずは、親の今の状態を整理します。
- 健康状態
- 認知機能
- 通院状況
- 服薬管理
- 食事
- 外出
- 家事
- 金銭管理
- 交友関係
- 趣味や楽しみ
- 困っていそうなこと
ここで大切なのは、親を評価することではありません。
「何ができないか」を探すのではなく、
「今どんな状態なのか」
「どこに少し支援があると安心か」
を確認することです。
2. 自分・家族の関われる範囲

次に、自分や家族がどこまで関われるかを整理します。
- 親との距離
- 自分の仕事の時間
- きょうだいの有無
- 配偶者や家族との関係
- どのくらいの頻度で通えるか
- 急な呼び出しに対応できるか
- どこからは外部支援が必要か
親を大切に思う気持ちがあっても、すべてを自分だけで担うのは難しいことがあります。
「できること」と「難しいこと」を分けて考えることは、冷たいことではありません。
長く続けるために必要な整理です。
3. 使える支援・相談先

家族だけで抱え込まないためには、相談先を知っておくことも大切です。
たとえば、次のような場所があります。
- 地域包括支援センター
- ケアマネジャー
- 医療機関
- 自治体窓口
- 介護サービス事業所
- 会社の人事・総務
- 社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー、キャリアコンサルタントなどの専門家
最初からすべてを理解する必要はありません。
「どこに相談すればよいかわからない」という段階でも、まずは自治体や地域包括支援センターに相談することで、次の窓口につながることがあります。
4. お金と時間の見通し

親のことを支えるときには、お金と時間の見通しも大切です。
- 通院付き添いの時間
- 交通費
- 介護サービスの利用
- 仕事を休む可能性
- 収入への影響
- 自分たちの生活費
- 夫婦や家族の時間
- 自分の心身の余裕
親を支えることは大切です。
ただ、自分の暮らしが大きく崩れてしまうと、支援を続けることが難しくなります。
親の安心と、自分の生活の安心。
どちらか一方ではなく、両方を見ながら考えることが大切です。
親のためだけでなく、自分の暮らしを守ることも大切
親を支えたいと思う気持ちは、とても自然なものです。
ただ、子ども世代が無理をしすぎてしまうと、長く続けることが難しくなることがあります。
仕事を休み続けて収入が不安定になる。
きょうだいや家族との関係がぎくしゃくする。
配偶者との時間が減る。
自分の体調や心の余裕がなくなる。
こうした状態になると、親を支えることそのものが苦しくなってしまうかもしれません。
親のためにできることを考えることは大切です。
同時に、自分の生活、仕事、夫婦の時間、健康を守ることも大切です。
自己犠牲を前提にしすぎず、無理なく続けられる形を探すこと。
家族でできることと、外部の支援を使うことを分けて考えること。
それは、親を大切にすることと矛盾しません。
むしろ、親も家族も少し安心しやすくなるための、大切な視点だと思います。
私自身の経験について
私自身も、離れて暮らす母の小さな変化に気づき、受診やデイケアにつなげた経験があります。
最初は、「これは年齢相応なのか」「どこまで気にすればよいのか」と迷うこともありました。
そのときのことは、noteに少し詳しく書きました。
関連note:

親の変化に気づいたときの気持ちや、家族としてできることを考えるきっかけとして、必要な方に読んでいただければうれしいです。
まずは「何を整理すればよいか」からでいい
親の介護や老いのことは、重たく感じやすいテーマです。
考えなければいけないと思いながらも、つい後回しにしてしまうこともあります。
何から調べればよいかわからず、そのままになってしまうこともあります。
でも、最初からすべてを理解する必要はありません。
まずは、親の状況を少し書き出してみる。
自分が関われる時間を確認してみる。
相談先を一つ調べてみる。
会社の制度名だけでも確認してみる。
家族で「今、少し気になっていること」を共有してみる。
そのくらいからで大丈夫です。
怖がるだけではなく、少しずつ見える化していく。
相談先を持つ。
働き方やお金も含めて整えていく。
そうすることで、親も家族も、少し安心しやすくなるのではないでしょうか。
親の老いは、誰にとっても簡単なテーマではありません。
でも、ひとりで全部抱え込まなくても大丈夫です。
「何から考えればよいかわからない」という段階でも、まずは状況を整理することから始めてよいのだと思います。
親の介護・働き方・お金のことを整理したい方へ
まずは「何が気になっているのか」を一緒に整理してみませんか
親の介護、働き方、年金、社会保険、家計のことは、それぞれ別々に見えても、実際にはつながっています。
のりき社会保険労務士事務所では、親のことが気になり始めた方や、仕事と家族の支援をどう両立するか悩んでいる方に向けて、制度と暮らしの両面から状況を整理する個別相談を行っています。
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